建設キャリアアップシステムは2019年より本格運用が開始され、2024 年現在約半数の技能者、事業者が登録しています。
今回は、建設キャリアアップシステムが導入された背景や目的、事業者や技能者のメリットについて解説します。
建設キャリアアップシステムとは何か?について基本的な事が理解できる内容となっています。
建設キャリアアップシステムとは
建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System)とは、ICカードを利用して技能者の資格や社会保険加入状況、現場での就業実績などを登録・記録していくシステムです。
建設キャリアアップシステムは頭文字をとってCCUS「シーカス」と略して呼ばれることもあります。
CCUSは2019年より本格運用が開始されており、2024年4月現在、技能者の登録数は約140万人となっています。
全国で約300万人の作業者がいますので約半数が登録済みです。
愛媛県でも約13,000人の方がCCUS登録済みです
CCUS導入の背景
建設業界の人手不足や高齢化は他産業と比べてもより際立っています。このままの状況で進むと10年、20年先は建設業界が成り立たない可能性もあるほど、問題は深刻です。
若者が建設業界に入ってこない原因の一つとして挙げられるのが、賃金アップ体系が適正でないことや、スキルアップの道筋が不明瞭であることが挙げられます。
この問題を解決て、見える化されたキャリアアップやキャリアアップ応じた賃金体系を実現するため、CCUSは導入されました。
CCUS導入のメリット
ICカードに就業状履歴や保有資格をデジタル化して記録できるCCUSは、様々なメリットがあります。
ここでは、技能者、事業者それぞれのメリットを解説しますので導入の検討材料にしてみてはいかがでしょうか。
技能者のメリット
適正な賃金・待遇を受けられる
ICカードに就業実績を蓄積できるので、将来もし事業者が変わっても履歴がわかります。
自身の履歴の証明が簡単になり、適正な賃金や待遇を受けられる機会・可能性が広がります。
スキルアップ・キャリアアップの明確化
技能者の持つICカードは、技能者の実績や保有資格など登録された技能レベルによりカードの色が分けられています。
自分の現状レベルが見える可されることにより次のステップや具体的な目標が明確になり、仕事への意欲がアップします。
適正な退職金が受け取れる
カードリーダーにタッチすることでで就業実績が明確に記録されるため、建退共の掛金を積み立て・事務手続きがスムーズになります。
事業者のメリット
経審の加点項目
2023年8月14日以降を審査基準とする申請から、CCUSの項目が加点項目となっています。
直近の事業年度で全ての公共工事の現場で導入していた場合は10点、民間工事を含めた全現場ならば15点の加点となります。
施主や取引先の信用アップ
従業員のキャリアや保有資格を可視化できるので、事業者としての実力を具体的にアピールできます。
現場導入した場合はCCUS対応現場として、施主や金融機関など取引先に対してもアピールできます。
事務の効率化
ICカードによる勤怠管理や退職金に関わる事務作業などをデジタル・自動で行えるので、管理の事務作業が効率化できます。
技能者の採用時も、実績や資格が見える可されているので効率的な採用が行えます。
費用
技能者登録料
ICカードの発行に必要な費用です(税込)。有効期間は発行日から9年経過後最初の誕生日までです。※申請時60歳以上の方の有効期限は同14年目の誕生日まで。
- 簡略型2,500円(本人情報のみ)
- 詳細型4,900円(本人情報+資格、健康診断など)
事業者登録料
事業者がシステムを利用する上で必要な登録料で、会社の資本金によって分かれています。有効期限は5年です。
資本金 | 料金(税込) |
一人親方 | 無料 |
500万円未満(個人事業主含む) | 6,000円 |
500万円以上1,000万円未満 | 12,000円 |
1,000万円以上2,000万円未満 | 24,000円 |
2,000万円以上5,000万円未満 | 48,000円 |
5,000万円以上1億円未満 | 60,000円 |
1億円以上3億円未満 | 120,000円 |
3億円以上10億円未満 | 240,000円 |
10億円以上50億円未満 | 480,000円 |
50億円以上100億円未満 | 600,000円 |
100億円以上500億円未満 | 1,200,000円 |
500億円以上 | 2,400,000円 |
管理者ID利用料
事業者が事業者情報(現場情報を含む)を管理するために 必要な管理者ID に対する利用料金です。毎年の支払いが必要です。
ID1個 11,400円(税込)※一人親方は2,400円
現場利用料
事業者(元請事業者)に対して、現場における技能者就業履歴情報の登録回数(現場に入場する技能者の人日単位)に対する利用料金です。
1人日・現場あたり 10円
※現場利用料の請求例:20 人の技能者が50 日就業した場合 20人×50日×10円=10,000円
まとめ
この記事では、建設キャリアアップシステムの基本について解説しました。要点をまとめると以下の通りです。
現状約半数の技能者・事業者が登録済みです。
費用や現場での手間など課題もあるものの、国は今後も登録を推進していくと思われます。
経審の加点項目でもあるので、許可業者でまだ登録されていない方は検討してみるのもよいのではないでしょうか。
より詳しい情報はコチラのCCUSサイトからどうぞ。
申し込みはインターネットから行うことができますが、忙しくてなかなか手が付けられない方は行政書士が代行していますので依頼することも可能です。