建設業は社会的な影響が大きい業界です。
そのため、国は建設業許可制度を通じて業者に一定レベル以上の質を求めています。
建設業許可は取得することもも大変ですが、取得後も様々な届け出や更新が必要です。
その一つが、「決算変更届」です。
決算変更届とはどういうものなのか?
いつ提出する必要があるのか?
提出しなかった場合のペナルティはあるのか?などについて解説します。
建設業許可を知る上で欠かすことのできない届出の一つである「決算変更届」について知ることで、
建設業許可に対する理解がより深まると思います。
決算変更届とは?
建設業許可を受けると、500万円以上(建築一式の場合は1,500万円以上)の工事を請負うことができるようになります。
その一方で、建設業許可業者としての義務が生じます。そのうちの一つが、決算変更届です。
決算変更届とは、建設業許可業者に対して課されている事業年度ごとの決算報告のことです。
建設業法11条2項に決算変更届について定められてるよ
「変更届」という語感から、決算期が変更になった場合の届出と勘違いする人もいるようです。
決算変更届は別名決算報告や事業年度終了届とも呼ばれます。
建設業許可行政庁へ今期の売上げや工事実績などの書類を提出します。
税務署への申告書作成が2~3ヶ月かかるから、実質1、2か月しかないよ
できる事から早めに準備するのが大事やね
決算変更届の提出書類
決算変更届とは、事業年度ごとに許可行政庁へ行う決算報告であることは理解できたと思います。
実際には、決算変更届とは複数書類の総称を表しています。
ここでは、具体的にどのような書類を提出すればいいのかをみていきます。
決算変更届の具体的なイメージをつかんでもらえればと思います。
工事経歴書
事業年度中の工事の実績を記載した書類です。取得している許可業種ごとに作成します。
記載する工事実績は、請負金額の大きいものから順に10件程度選んで記載します。
複数許可業種があればそれぞれ工事経歴書を作るよ
直前3年の各事業年度における工事施工金額
少し長い名前の書類ですがこれが正式名称です。
年度の施工金額やその内訳の書類になります。
元請と下請の内訳、公共工事と民間工事の内訳などを記入します。
建設業用財務諸表
税務申告用に作成した財務諸表を、建設業用の財務諸表に転記・作成して提出します。
財務諸表と工事経歴書は税抜きOR税込み表記どちらでもOKです。
ただし、どちらかに揃えておく必要があります。
経審を受ける建設業者には税抜き表記が義務付けられています。
経審の予定がある人は税抜きにしておくほうが手間が少なく済みます。
事業報告書
事業報告書とは年度における会社の事業状況をまとめたものです。
財務諸表とあわせて、会社の概況や直近の事業年度における変化などを記載した事業報告書を提出します。
フォーマットに決まりはなく自由だよ
納税証明書
事業年度の納税証明書を取得後許可行政庁へ提出します。
愛媛県知事許可の場合は法人事業税、国土大臣許可の場合は法人税の証明書となります。
決算変更届は何のため?
ここまで、決算変更届の提出物やタイミングについて解説してきました。
毎年提出、税務申告とは別ってなかなか大変よね
ここでは、そもそも決算変更届は何のために必要なのか?について説明します。
決算変更届の意味や必要性を理解することで、大変な決算変更届を作成するモチベーションになることと思います。
事業状況の公開
決算変更届で提出するのは一年間の工事実績や財務諸表です。
提出した決算変更届は、官公署で申請した人は誰でも見ることができます。
自社の事業の状況を公開することで、一般の人や業界の人が仕事を発注する参考にできます。
発注者保護の観点から義務付けられている決算変更届ですが、許可業者の立場では信用力を低下させない目的で行う必要があります。
自社の信用力を高め取得した建設業許可を有効に活用するためにも、毎年の決算変更届は欠かさず行うことが大切です。
ペナルティがある
決算変更届を提出していない場合、5年に一度の更新、業種追加、許可替え新規、経審を申請することができません。
複数年まとめて出すこともできなくはありません。
しかし、余計な時間・手間・関係各署に対して与える印象を考えると複数年まとめるメリットはありません。
1年毎にきちんとと提出しておくことをおすすめします。
まとめ
決算変更届は、建設業許可業者に義務付けられている毎年の決算報告です。
届出に必要な書類には、工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額、建設業用財務諸表、事業報告書、納税証明書があります。
決算変更届は誰でも閲覧可能な書類なので、提出していない場合信用力が低下する可能性があります。
また、更新などの手続きができませんので毎年必ず提出しましょう。
決算終了後4ヶ月以内の提出ですが、税務処理後実質1~2か月しかないので早めの準備をすることをおすすめします。