建設業許可を取得するためにクリアしなければならない3つの要件「人材」「お金」「信用」。
その中でも、多くの人が苦労するのが人材要件です。
建設業許可を取得するために、経営業務管理責任者と並んでハードルとなってくるのが今回解説する「専任技術者」の要件です。
専任技術者要件は、請負契約の適正な締結・履行のために建設業者の専門性の確保を目的としています。許可を取得している会社に専門的な人材がいなければ、安心して工事を任せれません。
建設業許可を取るために専任技術者がいることはもちろん、許可を取得した後も専任技術者を育てていくことを継続することが事業発展のポイントです。
経管は建設業経営のプロ、「専任技術者」は実務のプロとして認められるということやね
この記事では、愛媛で一般建設業許可取得をお考えの人に向けて、重要な要件の一つである専任技術者についてわかりやすく解説します。
専任技術者の主な業務
専任技術者の主な業務は建設業者として請負契約の内容や金額を決定するための積算見積書や工事内訳書の作成、発注など契約関連業務全般です。
元請けや設計事務所が作成した設計や資材、施工方法に問題があれば改善案を出すこともあります。
専属で営業所に配置する必要があるため、原則的には現場配置できません。(※例外あり)
専任技術者の資格要件
専任技術者は通称「専技(センギ)」と呼ばれています。専技は建設工事の29業種それぞれの分野で専門技術性を持っていると認められた者のことです。
認められるため、具体的には下記3つのパターンがあります。それぞれのパターンを理解した上で、自分の事業所に適した申請を選び、育成することが大切です。
①専技として認められる国家資格を持っている
建設工事29業種によって専任技術者として認められる国家資格がそれぞれ決められています。この資格を持っている者が事業所にいれば3つのパターンの中で最も証明が簡単な要件です。
まず、ご自分の許可を目指す業種に該当する資格は何があるのかをご確認ください。こちらの愛媛県発行の手引書から「資格一覧」を見ることができます。
資格を持っていることが一番わかりやすい専技の要件やね
②10年以上の実務経験がある
専技の要件は国家資格で証明するのが最もわかりやすいですが、現場で働く個人事業主など勉強時間がとれない方もいます。その場合、許可申請をする業種について10年以上の実務経験があれば専任技術者となることができます。
この実務経験は、許可を受ける建設工事の技術上の全ての職務経験をカウントすることができます。
ほやけど、許可に関係ない業種やただの雑務、事務作業は職務経験に認められんのよ
10年間の実務経験期間は複数業種の重複は認められんけんね。どれか1業種のみの期間としてのカウントになるんよ
過去の実務経験や常勤が事実でも、口頭での説明ではなく客観的な事実として提示する書面上の確認資料が必要です。
実務経験を積んだ事業者の建設業許可の有無などにより条件が変わりますが、ここではざっくりと実務経験と常勤性の証明に必要な書類を挙げます。
10年以上の経験があっても、注文書や請求書を残してないケースが多いんよね。
発注元や勤めていた会社に書類をお願いするケースもあります。建設業許可の取得の時もお願いしやすいので退職した後も良好な関係性を続けておくことをおすすめします。
事情により書類が揃えることができない場合もありますが、代替の証明方法がある場合もありますのであきらめず関係各署に相談してみてください。
③指定学科卒業+実務経験
指定学科を卒業していてたり複数業種で実務経験がある場合専技に必要な実務経験が10年より短縮されるケースがあります。下記参照して当てはまるかどうかご確認ください。
- 専門学校の指定学科を卒業、専門士又は高度専門士を称する者+3年以上の実務経験
- 高等学校、専門学校又は中等教育学校の指定学科卒業+5年以上の実務経験
- 複数業種で一定期間以上の業務経験
専任技術者の配置
ここまで解説したのは専技になることができる人材の要件でした。ここからは、専技の要件を満たした人材の配置に関する要件です。
建設業許可を受ける場合、また受けた後は建設業を営む全ての営業所ごとに専任技術者を専任で配置する必要があります。また、専技と現場に配置する技術者は基本的には分けけないといけません(緩和条件あり、下記参照)。
許可取得後に専任技術者が退職などしたら許可取り消しになる可能性あるけん。常に人材育成が大切やわいね
専任技術者は原則、工事現場の主任技術者や監理技術者、監理技術者補佐になることはできませんが、以下の場合はOKです。
まとめ
今回は建設業許可要件の中でも苦労することが多いものの一つである専任技術者に関して解説しました。
許可を受けるにあたり専任技術者の要件を満たした人材を雇用するのも一つですが、なかなか適材がタイミングよく見つからないことも多いようです。許可取得を目指す方は計画的に専技の要件を満たすよう資格取得や書類の保存をしておくことをおすすめします。
事情により資料が揃えることができなくても、代替資料等で許可を受けることができたけーすもあります。あきらめず関係各署に相談してみてください。