愛媛県発行の手引書には、経管について次のように書かれてあります。
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして、国土交通省令に定める基準に適合する者であること
愛媛県発行:建設業許可申請の手引書
経営業務管理責任者は、建設業許可を取得する上で最も重要な要件の一つです。
建設業許可を取得する際、多くの人が苦労するポイントの一つでもあります。
この記事はこんな方におススメ
- 経営業務管理責任者とは何かを知りたい
- 経営業務管理責任者の要件を知りたい
- 愛媛で建設業許可を取ろうと考えている
経営業務管理責任者とは
経営業務管理責任者とは、建設業の経営のプロフェッショナルであり、許可を取得するために必ず必要な人材です。
経営業務管理責任者は、複数の建設業許可を受ける場合でも事業者に一人いれば大丈夫です。
建設業は国の基幹産業として責任が大きいので、許可には経営者としての経験を要求しています
経管の要件1 経験年数
経営業務管理責任者、通称「経管(ケイカン)」の経験年数要件は令和2年に緩和され、現在5つの方法があります。
以前はより厳格な要件でしたが、将来的な建設業界への影響も考慮し緩和されました。
ですが、建設業許可取得の上で大きなハードルであり、多くの方が苦労するポイントです。
まず、経管の要件をしっかりと把握し、事前の準備を行うことが建設業許可取得への大切な一歩です。
①建設業で5年以上、経営業務管理責任者としての経験
法人の常勤役員や建設業許可業者の支店長、個人事業主として5年以上建設業を経営していた経験があれば経管として認められます。
経験業種は許可を受ける建設業種に限られず29業種どれでもOKです。
以前は許可を受ける業種での経験が必要でしたが、令和2年に緩和されました
こんな方はケイカンになることが可能です
- 5年以上建設業の会社の役員をしている
- 以前役員をしていた建設会社+今役員をしている建設会社=5年以上
- 以前個人事業主として建設業+今役員をしている建設会社=5年以上
- 5年以上一人親方で建設業を営んでいる
5年間の経営経験の証明に必要な書類は以下の通りです。
建設業許可事業者でない経験年数も通算できますが、証明するための書類が多く必要です。
書類集めに苦労する人が多いので、日頃から書類関係を整理・保存しておくことが大切です。
実務経験を証明するために必要な書類
許可会社 | ケイカンだった場合 | ケイカン申請書 登記簿謄本 |
ケイカンでなかった場合 | 建設業許可証の写し 登記簿謄本 | |
非許可会社 | 登記簿謄本、契約書、請求書、請書、注文書、預金通帳等 | |
個人事業主 | 確定申告(原本・受付印) |
②建設業で5年以上経管に準ずる地位で経管経験
経管に準ずる地位とは、権限を与えられた執行役員のことです。
- 取締役会設置会社で取締役会決議により選任されていること
- 取締役会や代表取締役により業務執行の権限移譲をうけていること
経管に準ずる地位の証明書類は難易度が上がります
③建設業で6年以上経管に準ずる地位で経管を補助した経験
補助した経験とは、工事の施工に必要な資金調達、技術者の配置、下請けとの契約締結など経営業務全般に従事した経験をいいます。
ここからは、補佐を置いて複数名で経管要件を満たすパターンです。2020年の法改正で要件緩和されたことにより新たに認められた要件です。
④建設業で役員2年以上+役員に次ぐ職制(管理職)5年以上
⑤建設業で役員2年以上+他業種で役員5年以上
④⑤の場合、5年以上財務管理、労務管理、運営業務の業務経験がある人補佐としておくことで複数名で経管として認められます。
経営業務管理責任者はその会社の経営のプロ、責任ある立場の者です。
法人であれば役員、個人事業主であれば本人または登記された支配人である必要があります。
例え過去に5年以上のケイカン経験があっても、一般社員の方をケイカンにすることはできないのでご注意ください。
ケイカンは経営上責任ある立場の人だから、ヒラ社員は経験あってもなれません。
経管の要件2 役員として常勤
ケイカンは、会社であれば常勤している役員、個人事業主であれば本人である必要があります。
ここで、「常勤とは?」がポイントになります。
常勤とは、休日その他勤務を要しない日を除いて一定の計画のもとに職務に従事していることです。
その会社から給与を支給されていること(健康保険証、年金事務所発行資料、確定申告資料等)が証明できればOKです。
地理的・物理的に通勤することができること(片道約2時間以内)の確認(住民票など)も判断基準の一つです。
片道2時間以上かかる場合は実際に通勤していることを証明する資料でOKです。
役員が常勤していることを証明するためには、下記書類のいずれかを提出する必要があります。
まとめ
今回は経営業務管理責任者について解説しました。
ケイカン要件は以前と比べ緩和され、建設業以外の経営経験も条件によりOKになりました。
ただし、実際は書類での証明が難しく以前からの5年以上要件で取得される方がほとんどです。
将来的に経管の取得ができるよう必要書類を理解し、収集・保存しておくことが大切です。
また、ご自分だけで許可の取得が難しそうであれば、専門家に相談することも一つです。
証明書類のアドバイスや収集など、手間と時間を大幅にカットできる可能性があります。