愛媛県の建設業許可をわかりやすく解説します

建設業許可

「愛媛県で建設業許可を取るためにはどうすればいいのだろう?」

「ネットや本などの情報を見ても他県の情報だしよくわからない。」

そんなあなたのお悩みを解決します。

この記事は、愛媛県の建設業許可申請の手引書を基にリライトしています。

大局を理解しやすいよう、言い回しを易しくしたり細かい部分は省いたりしているところもあります。

愛媛で建設業許可をとるための、基本的な考え方や方法が理解できます。

この記事はこんな方におススメ

  • 建設業許可について調べ始めた
  • まずは大まかに建設業許可について知りたい
  • ゆくゆくは建設業許可を取ろうと考えている
  • 愛媛で建設業許可を取りたい

建設業許可とは

建設業許可がなくても工事している業者はたくさんいます。この記事を読んでいる方の中にもいるでしょう。

そもそも、建設業許可はどういう場合に必要なのでしょうか?

許可を取ることで何が変わるのでしょうか?

「建設業」とは、建設工事の完成を請け負う営業をいいます。建設業を営もうとする者は、建設業の許可を受ける必要があります。ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する者は、必ずしも許可を受けなくてよいとされています。

建設業法第3条第1項

簡単に言うと「軽微な建設工事」だけ請け負うのであれば許可なくてOKということです。

軽微な建設工事とは?

  • 建築一式工事の場合 工事1件の請負代金の額が1,500万円に満たない工事、
    又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅を建設する工事
  • 建築一式工事以外の場合 工事1件の請負代金が500万円に満たない工事

    ※軽微な建設工事でも、解体工事は建設リサイクル法に基づく登録が必要です。

500万円以上の工事を請け負う場合は請け負う工事の業種に合った許可が必要ですが、500万円以下なら許可は必要ありません。

最近はコンプライアンス(法令順守)がきびしく言われる世の中です。請負金額にかかわらず許可の取得を発注条件にする元請けもあります。

許可の有無が金融機関の融資や施主のローンなどに影響することもあります。請負金額だけでなく、社会的信用の面からも建設業許可の取得を目指す方も多くいます。

「国土交通大臣許可」と「都道府県知事許可」

建設業許可は、事務所の所在地や数によって2種類に分けられます。

愛媛県内にのみ営業所を設ける場合は「愛媛県知事許可」となります。愛媛県内に複数の営業所を設ける場合も県知事許可です。

愛媛県と、愛媛県以外の都道府県にも営業所を設ける場合は大臣許可となります。

県知事許可で営業所が愛媛県内だけでも、よその県で工事をしてもOKです

複数営業所がある場合は営業所ごとに許可が必要です。
許可を受けた業種については、軽微な建設工事のみを請け負う場合でも届出をしている営業所以外では営業できません。

「特定建設業許可」と「一般建設業許可」

元請けするかどうか、また元請けするなら下請けへの発注金額によって2種類に分かれます。

特定建設業は、発注者から直接請け負う1件の建設工事につき、下請代金額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)となる下請契約を締結して施工する者が取得する許可です。


一般建設業とは、特定建設業の許可を受けようとする者以外の者が取得する許可です。

特定建設業許可が必要なのは発注者から直接請け負う元請け人のみが対象です。一次下請以外の建設業者は必要ありません。

下の表は、愛媛県内の許可業者の区分です。

約9割が愛媛県知事許可の一般許可となっています。この記事を読んでいる多くの方もこちらに該当すると思われます。

知事許可知事許可大臣許可大臣許可
一般特定一般特定
5,281576者40者29者
令和4年3月末 国土交通省調べ 

多くのの業者は知事許可の一般許可です

29種に分かれる許可業種

建設業許可は、2種類の一式工事と27種類の専門工事に分けられており、建設工事の業種ごとに受ける必要があります。

業種ごとに一般建設業か特定建設業のどちらかの許可を受けることができます。まず、自分の許可を受ける工事が29種のうちどの業種にあたるかを確認しましょう。

2つの一式工事

  • 土木一式工事
    総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事。補修・改造・解体する工事も含まれます。
  • 建築一式工事
    総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事。

一式工事は総合的な企画が必要なので、元請けが取得する業種です。

27の専門工事

  1. 大工工事業
    木材の加工または取付けにより工作物を築造。または工作物に木製設備を取付ける工事。
  2. 左官工事業
    工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維などをこて塗り、吹付けまたは貼り付ける工事。
  3. とび・土工・コンクリート工事業
    この業種にかんしては他の業種と比べて範囲が広く考えられています。

    ・足場の組立て、機械器具・建設資材などの重量物のクレーンなどによる運搬配置、鉄骨などの組立て工事。
    ・くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事。
    ・土砂などの掘削、盛上げ締固めなどを行う工事。
    ・コンクリートにより工作物を築造する工事。
    ・その他基礎的ないし準備的工事。
  4. 石工事業
    石材、コンクリートブロックの加工または積方により工作物を築造し、または工作物に石材を取付ける工事。
  5. 屋根工事業
    瓦、スレート、金属薄板などにより屋根をふく工事。
    屋根一体型の太陽光パネル設置工事は「屋根工事」にあたり、太陽光パネル発電設備の設置工事は「電気工事」にあたります。
  6. 電気工事業
    発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備などを設置する工事。
  7. 管工事業
    冷暖房、空調、給排水、衛生などのための設備を設置する工事。または金属製などの管を使用して水、油、ガス、水蒸気などを送配するための設備設置工事。
  8. タイル・れんが・ブロック工事業
    れんが、コンクリートブロックなどにより工作物を築造し、または工作物にれんが、コンクリートブロック、タイルなどを取付け、貼り付ける工事。サイディング工事。
  9. 鋼構造物工事業
    形鋼、鋼板などの鋼材の加工または組立てにより工作物を築造する工事
  10. 鉄筋工事業
    棒鋼などの鋼材を加工、接合、組立てする工事
  11. 舗装工事業
    道路などの地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利砕石などにより舗装する工事。
  12. しゅんせつ工事業
    河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事。
  13. 板金工事業
    金属薄板などを加工して工作物に取付け、または工作物に金属製などの付属物を取付ける工事。
  14. ガラス工事業
    工作物にガラスを加工して取付ける工事。ガラスフィルム工事。
  15. 塗装工事業
    塗料、塗材などを工作物に吹付け、塗付け、または貼付ける工事。
  16. 防水工事業
    アスファルト、モルタル、シーリング材などにより防水を行う工事。
  17. 内装仕上工事業
    木材、石膏ボード、吸音板壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすまなどを用いた建築物の内装仕上工事。
  18. 機械器具設置工事業
    プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、吸排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設備工事、舞台装置設備工事、サイロ設備工事、立体駐車設備工事など。
  19. 熱絶縁工事業
    工作物または工作物の設備を熱絶縁する工事。冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備または燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事。
  20. 電気通信工事業
    有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事。
  21. 造園工事業
    植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事など。
  22. さく井工事業
    さくい工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事など。
  23. 建具工事業
    工作物に木製または金属製の建具等を取付ける工事。サッシ取付け工事、カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドア取付け工事など
  24. 水道施設工事業
    上水道、工業用水道などのための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事または公共下水道もしくは流域下水道の処理設備を設置する工事。
  25. 消防施設工事業
    火災警報設備、消火設備、避難設備もしくは消火活動に必要な設備を設置し、または工作物に取付ける工事。
  26. 清掃施設工事業
    ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事。
  27. 解体工事業
    工作物の解体を行う工事。

許可が必要な業種が複数の場合は全ての許可が必要になります。
ただし、主たる工事の附帯工事にみなされる場合は必要ありません

あわせて読みたい

現場で考える業種と建設業法上の業種が一致しないケースもあるようです。
認識にズレがあるとせっかく取得した建設業許可が思うような効果を発揮しないこともあるので注意が必要です。

許可取得に必要な7つの要件

ここでは、実際に建設業許可を取得するためにはどういったことが必要なのか?について解説します。

一般なのか特定なのか?によって要件は異なります(特定の方がより厳格な要件です)。ここではまず、多くの方が該当する知事許可の一般建設業許可について解説します。

知事許可の一般建設業許可の要件は大きく分けて以下の7つです。

まず要件をしっかりと理解することで、愛媛で建設業許可を取るために何が必要か把握して次のステップに進むことができます。

1.経営業務管理責任者がいること

法人であれば役員、個人事業主であれば本人が「経営業務管理責任者」通称「経管(ケイカン)」の要件を満たす必要があります。

経管とは、一言でいうと「建設業の経営に関するプロ」。対外的に営業上の責任ある立場で、常勤の必要があります。

経管の要件を満たすにはいくつかのパターンがありますが、一番よくあるのは過去5年間建設業の経営経験です。

過去の経営経験を証明する書類をそろえるのに苦労する人が多いよ。今のうちからしっかりと将来に備えて書類は残しておくことがおススメです。

建設業許可を取得するには経営業務管理責任者は最も重要な要件の一つです。こちらで経管について詳しく解説していますのでぜひお読みください。→経営業務管理責任者とは?

2.専任技術者がいること

専任技術者とは、建設業29業種のうち許可を取得する業種に関して国家資格を持っているか、所定の実務経験がある者のことです。

通称「専技(センギ)」と呼ばれます。経管が「経営のプロ」なのに対してセンギはいわば「技術のプロ」。専技は営業所ごとに専任かつ常勤している必要があります。

専技の要件を満たすのは国家資格を持っているか10年間の経験を有するかのどちらかが多いようです。

せつ子ちゃん
せつ子ちゃん

専技の実務経験証明書類は10年分やけん、経管よりさらに大変。以前勤めていた会社にお願いすることもあるよ、仲良くしておこうね!

専任技術者も経営業務管理責任者と並んで建設業許可を取得する上で最も重要な要件の一つです。こちらで専技について詳しく解説していますのでぜひお読みください。→専任技術者とは?

3.社会保険に加入していること

建設業許可を取得するには事業者の状況に応じた適切な社会保険への加入が要件とされています。社会保険とは「健康保険」・「厚生年金保険」「雇用保険」をいいます。

社会保険に関しては事業者によって条件が異なりますのでこちらの社会保険に関してを参考にしてください。→建設業許可に必要【社会保険】について解説します

健康保険と厚生年金保険は法人や従業員を常時5人以上雇っている個人事業主は加入の必要があります。

一人親方や個人事業主で従業員4人以下なら加入しなくてもOKです。

「雇用保険」に関しては週20時間以上勤務の従業員がいる場合は加入しなければいけません。

けん太
けん太

社会保険加入は令和2年から許可要件に加わりました。
すでに許可をお持ちの業者様も、5年に一度の更新の際は社会保険加入が必要です。

4.営業所の設置

建設業許可を受けるためには、営業所を設置していることも求められます。

例えば自宅を事務所と名乗ればよいという訳ではなく、下記の様な状況があるかどうかを写真で判断されます。

また、営業所の写真を提出する際に自己所有か賃貸かを申告します。

  • 外部から来客を迎え入れ請負契約等実質的な業務を行えうるか
  • 電話・机・事務台帳等を備えているか
  • 居住部分、他法人等のスペースとは明確に区切られているか
  • 看板・表札等で外部から建設業の営業所であると認識できるか
せつ子ちゃん
せつ子ちゃん

令和2年から不動産登記簿謄本や賃貸借契約書の写しは提出しなくてよくなったけん、楽になったよ

5.誠実性

法人の場合すべての役員や支配人、個人事業主の場合本人や一定の使用人が請負工事に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかなものでないことが必要です。

「不正な行為」とは
請負契約の締結または履行の際における詐欺、脅迫、横領など法律に違反する行為
「不誠実な行為」とは
工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為

けん太
けん太

この要件で事前に引っ掛かった例はあまり聞いたことないよ。
「これから誠実に業務を行います」という宣誓をする意識でいいと思うよ。

6.財産的基礎

財産的基礎とは簡単に言うと一定の金額を持っていることです。

一般建設業許可は500万円が基準ラインです。証明方法は以下の3つのうちどれかでOKです。

  • (法人)直前決算の貸借対照表の自己資本(純資産合計)額500万円以上
  • (個人事業主)(期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)ー事業主貸勘定+引当金+準備金=500万円以上
  • 銀行の預金残高証明書または融資証明書が500万円以上
せつ子ちゃん
せつ子ちゃん

法人は資本金500万円以上にしておくと財産的基礎要件のクリアが簡単だよ

7.欠格要件

下記に該当すると欠格要件に該当し許可を受けることができません。

経管や専技など難しい要件をクリアしても欠格要件で引っ掛かると問答無用で不許可となります。

  • 破産した後免責を受けていない
  • 過去に建設業許可取り消しを受けて5年経っていない
  • 過去に営業取り消しを逃れるための廃業している
  • 営業の停止・禁止期間である
  • 禁固刑、罰金刑を受けた後5年経っていない
  • 反社会勢力、または反社会勢力とかかわりがある
  • 暴力団員でなくなってから5年経っていない
  • 未成年者、精神障がい者でない
  • 申請書類の内容に虚偽がある
  • 執行猶予中の役員が在籍している場合、執行猶予が終わった時点でOK
  • 自己破産してブラックリストでも裁判所から免責を受けていればOK

誠実性と欠格要件の対象者は常勤役員だけでなく、非常勤役員や一定の使用人も含まれるので注意が必要です。

建設業許可の有効期間

許可の有効期間は許可日から5年目を経過する日の前日です。(当日が日曜日等の休日でもその日が満了日となりますのでご注意ください)

引き続き建設業を営む場合、有効期間満了の30日前までに更新の許可申請書を提出しなければなりません。

遅くとも、満了日の約2か月前には準備を始めましょう。

また、更新のためには毎年決算変更届を提出しておく必要があります。

直前になってあわてることのないように計画的な運用が大切です。

まとめ

建設業許可には建設業許可には大臣許可と知事許可、一般建設業許可と特定建設業許可があります。

まず、自分が取ろうとする許可区分や業種の把握が第一ステップです。

許可をお持ちの方は有効期間を確認の上、更新に向けて計画的に準備をしておくことが大切です。

本業が忙しく事務作業まで手が回らない方も多くいます。

当事務所では許可取得やその後の各種届出などのアフターフォローまで承ります。

お気軽にお問合せください。

記事の執筆者
行政書士はま法務事務所

愛媛で行政書士をしています。
専門は建設業関連と外国人在留資格申請です。
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